「OPEN CITY MARUNOUCHI」開催! 大丸有が開いた街に

2018年5月18、19日の2日間、大丸有にちょっとした魔法がかかりました。呪文は「オープン・セサミ!」(ひらけゴマ!)ならぬ「オープン・シティ!」。今年、一般社団法人大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会創立を皮切りとする、“まちづくり30周年”を記念する事業のひとつとして開催された「OPEN CITY MARUNOUCHI」は、文字通り、「まちを開く」イベントです。普段入ることのできないスポットやエリアを訪問したり、知られざる街の横顔を紹介するというもので、11のコースツアーに500名を超える人が参加し、オープンな大丸有を楽しみ、未来の東京のあるべき姿を探りました。
OPEN CITY MARUNOUCHI

「探検!丸ビル!」に潜入取材

用意されたツアーは「地下ってすごい」「探検!JPタワー!」「近代建築巡り」「潜入、トンネル工事現場」など魅力的なコースがずらり。今回は、5月18日に開催された「探検!丸ビル!」に同行取材しました。

このツアーは、大正時代に建築された最初の丸ビルの基礎部で使われた松杭の紹介、普段立ち入ることのできない屋上や地下防災井戸設備、耐震機構の見学、丸の内観音(!)の拝観といったメニューとなっています。

参加者は近隣のオフィスワーカー、旅行者、学生など職業も年齢もバラバラ。「もともと丸の内が好きだったから」「将来丸の内で働きたいから」「散策好きだから」等々、参加した理由もさまざまですが、「丸ビルの普段見れないところを見たい!」という思いは一緒。ツアー解説は、初代丸ビルの解体に携わり、現在はリガーレの事務局長を務める藤井です。参加者のみなさんも、当時をよく知る人間からの解説で、丸ビルの新しい姿を知ることができたようでした。

ツアー中、ひときわ高い歓声が上がったのが、屋上でした。37階(本当は存在せず、今回だけ便宜的にそう呼ばれた幻のフロア)から、階段を上がって屋上に上がると思わず「おおおっ!」と声が漏れます。一般公開向けになっていないため、柵や手すりがないせいもあるかもしれません、思いもよらぬほどの爽快感と開放感があります。なかなかない視点と角度で東京や千葉を見晴らすのも新鮮な体験です。

そして、もうひとつ参加者の注目を集めたのは丸の内観音の拝観です。

「丸の内観音」は、高さ15センチ弱の立像「丸ノ内ビルヂング守護観世音像」と、直径36センチの円盤状のレリーフ「丸ノ内ビルヂング守護南無観世音菩薩」の2種類があります。レリーフは初代丸ビル竣工から6年後の昭和3年、ビル屋上の塔屋に奉納されたもの。立像のほうは、大正12年2月の竣工から4カ月後の6月にビルに奉納。当時の記録には「柱に埋めた」との記述があり、解体時には細心の注意が払われ捜索されましたが、実際には屋上の塔屋にあったとか。もうひとつのレリーフは丸ノ内ガラーヂ(現在の丸ノ内パークビル周辺)に奉納されていたもので、「同じ鋳型を使って一斉に作り、ビルと街の安全祈願をしたものではないか」と藤井は話しています。

当時も今も丸の内といえば時代の最先端。そんな丸の内でも、安全を祈念して神仏を祀るというのは、なんだか新鮮ではないでしょうか。撥遣供養された今では仏性はないとされていますが、今も良いお顔で丸の内を見守ってくれていました。

開かれた街が都市の未来を変える

このOPEN CITY MARUNOUCHIの主催は大丸有まちづくり協議会とリガーレが一緒に企画をしました。

「地権者の集まりであり、まちづくりの大きな枠組みや方向性を決めるのがまちづくり協議会の役割。まちの賑わい創出のために、イベントや交流事業など、ソフトコンテンツ面を担当するのがリガーレ。今回は、その両者が同じゴールに向かって協力して取り組んだ事業となりました」

そう話すのは、大丸有まちづくり協議会の事務局次長、谷川拓氏です。協議会設立30周年記念イベントとして、約半年前から準備に取り組みました。

「参考にしたのはロンドンやニューヨークで行われている『オープンハウス』※イベント。東京も成熟した都市として、合理性や経済性の追求とは違うまちづくりをしていく必要がある。そのためにまずは多くの人にまちに興味を持ってもらいたい。このイベントをそのきっかけにしてもらえれば」
※注:「オープンハウスロンドン」「オープンハウスニューヨーク」の名称で、年に1回歴史的建造物から最新の建築物まで、200以上の建物を一般に公開するイベント

日本の大企業の本社が多数集積する大丸有で、このようなオープンシティイベントを行うのは苦労も多かったそう。その中で、さまざまな企業や団体が趣旨に賛同し、建物をオープンにしてくれたことは将来に向けて「非常に心強い」と谷川氏。
「それぞれが、都市間競争に勝ち残るためには東京も変わらなければならないという危機感を持っていることもあるでしょう。しかし、なにより街を訪れる人に“楽しんでもらいたい”という趣旨に賛同して、開放してくれた企業が多かったのは、今後に向けて大きなはずみとなると思います」

大丸有まちづくり協議会では、このイベントを今回だけで終わらせるのではなく、「できたら年に1回、定常化させていきたい」といいます。

「マスメディアの取材もたくさんあり、注目度の高さも伺えました。これから東京を、丸の内を変えていきたいという仲間を集めて、オープンにするビルや会社を増やしていきたいですね。やがては、『この時期はOPEN CITY MARUNOUCHIがあるから、東京に行こう』という観光客が増えてくれたらうれしいです」

今回開催したツアーはほぼ満員御礼。40~60代がのみならず、学生などの若年層や、子連れで参加した方もおり、今後の可能性を感じさせる結果となりました。今年の秋にも再度開催し、まだまだ知られていない大手町・丸の内・有楽町の素敵な街を紹介していく予定です!