海外BID視察から見えてきた、魅力的なまちづくりに必要なこと

6月13日、3×3 Lab Futureにて、全国エリアマネジメントネットワーク エリマネ女子会主催の「アメリカ東海岸視察ツアー 報告会」が開催されました。
本視察ツアーは、全国で活動しているエリアマネジメント組織による連携、協議の場を提供し、発展を支えることを目的として設立された「全国エリアマネジメントネットワーク」から、現場で活躍する女性のさらなる躍進を後押しすべく発足した「エリマネ女子会」による企画として、4月20日〜28日に米ニューヨーク、フィラデルフィアにて実施されたものです。
全国のエリマネ団体から18名が集まり、公共空間の活用などエリマネ推進に参考となる BID活動が進むニューヨーク、フィラデルフィアにて9つのBID団体とBIDの運営・サポートを行う6つの関連組織を訪問し、意見交換や視察が行われました。
※BID…Business Improvement Districtの頭文字を取ったもので、エリアマネジメント活動の資金を自治体が徴収し(地権者に課される負担金が主財源)、民間の団体に再配分、公共空間の管理なども一体的に任せてまちづくりを推進する制度。北米では1,500のBID団体が存在する。

BIDの活動が進む、アメリカ東海岸のエリアマネジメント

冒頭、本海外視察ツアーの団長である青山公三氏(龍谷大学教授/全国エリアマネジメントネットワーク監査役)が挨拶に立ち、BIDの活動が進むニューヨークにおける都市開発の動きについて、レポートがありました。ニューヨークで商業、オフィス、住宅などの開発が進むエリアを紹介し、同エリアにはほとんどBIDが出来ていることを語りました。また、ニューヨークの開発が進んでいる理由について、「固定資産税の減免や低利融資制度の導入など、民間が投資や参入しやすい工夫を役所が行っている」と述べ、官民連携の重要性について語りました。

続いて挨拶に立った副団長 保井美樹氏(法政大学教授/全国エリアマネジメントネットワーク副会長)は、本視察ツアーで訪問したBID団体について、”女子会”ということもありディレクターが女性であるところを選定したと述べ、ダウンタウンブルックリンやタイムズスクエアなど各視察場所について解説しました。また、タイムズスクエアBIDが1992年より10年単位で課題とテーマを決め活動していること例にとり、「長期的なエリアの整備と、訪問者でなくそこに滞在している人に愛されるスペース作りが必要だ」と述べました。

青山氏、保井氏のレポートに続いて、本海外視察ツアーの参加者により以下の3つのトークセッションが行われました。

(1)「BIDの組織及び財源について」…丹羽由佳理(一般財団法人 森記念財団)
丹羽氏は、エリアマネジメントの資金となるBID税の徴収方法や資金の算定方法について、BID団体毎の差異に着目して解説しました。例えば徴収方法は、ニューヨークでは市が、フィラデルフィアではBID団体が直接徴収。またハドソンスクエアなど予算規模の大きくないBIDでは、ハード整備を公的機関が負担、維持管理をBIDが行っていると説明しました。

(2)「公共空間の運営と場づくりについて」…内川亜紀(札幌駅前通まちづくり株式会社)、若松悠夏氏(株式会社STORY/3×3 Lab Future 運営))
内川氏は、一番印象に残ったBID団体としてハドソンスクエアを取り上げ、同エリアでは「公共空間=コミュニティの場所」という考えを強く意識し管理されていることを説明。また「Hudson Square is」のキャッチコピーを軸にしたキャンペーン企画を例に、人々の生活や日常に寄り添うことが居心地の良さに繋がるのではないかと語りました。
それを受け若松氏は、「人がそこに居たいと思う場所をつくることが大事」「居たい、行きたいと思うまちや場所をつくることがエリアマネジメントでありプレイスメイキングではないか」と、内川氏同様、人に寄り添ったまちづくりの重要性を説きました。

(3)「クリエイティビティと女性の活躍について」…中嶋美年子(NPO法人大丸有エリアマネジメント協会)
中嶋氏は、ハーレム地区の再開発が進むことで同地区の特徴であるストリートアートが失われつつあることを例にとり、「安心・安全、綺麗な場所をつくることも大事だが、単一的でなくその場所に根ざした特徴的なデザインを残すことも大事。それを見ただけでその街を体感できるようなデザインが、魅力的なまちづくりに繋がるのでは」と語りました。

これからのエリアマネジメントのテーマとは?

閉会の挨拶に立った全国エリアマネジメントネットワーク会長の小林重敬氏は、これからのエリアマネジメントのテーマとして公民連携とクリエイティビティを掲げ、「公共側がしっかり社会投資をして、BID側がそれを活用して街の活性化を図る、そういう関係がアメリカのBIDであり、日本はそのような公民連携のまちづくりをしていく必要がある」「地域にクリエイティビティを、またクリエイティブな人たちが活躍する場を作り出していけるかがエリアマネジメントの今後の課題」と語り、締めくくりの言葉となりました。

報告会の後は懇親会が催され、イベントでは話しきれなかったツアーでの出来事など、会話を楽しむ姿が見られました。海外視察ツアー第二弾開催の実現を願う声も聞かれ、エリマネ女子会の今後のさらなる活躍に期待が高まります。