都心型MICE誘致を促進する「DMO東京丸の内」発足

VENUES TOKYO / Marunouchi

都心にしかないリソースを集約的に活用し、都心にしかできない着地型観光、旅、そしてMICEをエリア全体で面的かつ有機的に行おうとする取り組みは、日本で初めてのことと言えるかもしれません。4月27日に設立が発表された「DMO東京丸の内」(Destination Marketing Organization)は、そんな都市におけるMICE誘致、観光・インバウンド促進の新しい可能性をはらむものとして期待を寄せられています。27日には発表とともに大丸有エリアの20団体40名弱が集まり、第1回の連絡会が開催されました。

一丸となってMICE誘致促進へ

DMO東京丸の内は、都心型MICEの誘致促進を目的に、MICE、ユニークベニュー施設を所有、運営する20団体で結成された組織です。リガーレを事務局に、参画団体が連携し、エリア全体で街のおもてなし力を上げ、MICE誘致促進を行おうというもの。情報共有・情報発信に努めるとともに、新しい取り組みの創出も行う予定です。
※MICE……Meeting、Incentive、ConferenceまたはConvention、Exhibitionの頭文字を取ったもので、大きな集客効果を望めるビジネスイベントの総称。 ※ユニークベニュー……通常その目的では使用されない歴史的建造物、文化的施設などを会議、レセプションなどに使用し、特別な雰囲気や地域特性を演出するもの

具体的には、まずエリアのMICE関連施設情報を発信するウェブサイト『VENUES TOKYO / Marunouchi』を開設しました。MICE誘致には、主催者だけでなく「ミーティング・プランナー」「PCO(Professional Congress Organizer)」と呼ばれるキーパーソンへの情報伝達が不可欠であることから、大丸有全体の情報を集約しアピール。また、参画団体内での情報・知見共有のため年に数回の連絡会を開催するほか、新しい施策プランを検討するための分科会、小ワーキングも個別に実施していく予定です。

第1回連絡会の様子

27日の第1回連絡会では、エリア内で開催されるイベントや活動の情報を共有するため、リガーレ、エコッツェリア協会、三菱地所プロパティマネジメントから報告がありました。

リガーレからはエリア内で行われる今後のさまざまなイベント情報を紹介。特に、MICE誘致関連の観点から興味深いのは、ラジオ体操で英語バージョンを開催するようになったこと(木曜日)。これまでの開催でも、ラジオ体操は外国人からの注目度が非常に高く、写真を撮ったり「これは何か」と尋ねたりする外国人の方が多くいました。日本独自の文化としてアピールすることができるかもしれません。

エコッツェリア協会・平本氏

エコッツェリア協会からは、1月にローンチした「Marunouchi Travel Lab(丸の内トラベルラボ)」の報告。これまでにない体験型インバウンドを創出する研究機能、大都市と地方を食と旅でつなぐ旅行拠点としての機能、そして大丸有の新しい旅の楽しみ方を企画実行する機能を持つものであることが紹介されました。新しい着地型観光プランを創案するナビゲーターの設置、短時間のツアープランへの対応など、さまざまなニーズに応える体制を整えていくことが報告されました。

三菱地所プロパティマネジメント・伊村氏

三菱地所プロパティマネジメントからは、インバウンド対応策のひとつとして、事業化を目指し試験的に運用を開始した「Marunouchi holiday」の紹介。これは外国人向けに「着物で過ごす丸の内」「人力車で巡る丸の内」「丸の内でそばうち体験」、これら3本をすべて行う「ALL 丸の内」の4つのコースを開設、エリア内の飲食店・団体等の協力のもと、同社が持つ施設を使い、比較的短時間で和のテイストと丸の内の雰囲気を楽しんでもらおうというもの。すでにDMO東京丸の内に参画するホテルなどに協力を求め誘客をスタートしており、今後1年かけてさらにブラッシュアップしていきたい考えです。

MICE拡大のため外部との協調を

東京観光財団・藤村氏
連絡会後半は、MICE誘致促進のためのインプットトークとして、東京観光財団コンベンション事業部国際渉外担当課長の藤村博信氏、日本観光振興協会副理事長の久保田穣氏からご講演いただいています。

藤村氏は、「東京観光財団とDMO東京丸の内との今後の連携について」とし、同団体がMICE誘致のために取り組んでいる「ファムトリップ」「ロードショー」といった活動を紹介するとともに、それらの活動でDMO東京丸の内と協業できる点を解説し、協力を呼びかけました。
特に現在は「コンベンション事業の需要が急増」(藤村氏)しており、今後のプロモーションにも力を入れたいとしています。ファムトリップやロードショーに、DMO東京丸の内も「ぜひ参加を」と呼びかけたほか、同財団が発行するプロモーションツール、ツアープランへの情報提供の依頼もありました。
また、財団ではMICEに関する経済的支援や、人的支援としてのセミナー活動なども行っていることや、このほど設立された「東京都MICE連携推進協議会」も紹介されました。

日本観光振興協会・久保田氏
久保田氏からは、「人口減少時代の交流人口拡大に向けて~日本版DMOの動向~」と題して日本全体を視野に入れた包括的なDMOについてのインプットがありました。同協会は全国の観光協会の連合体が母体のひとつになったという経緯もあり、地方の観光に強くコミットしているのが特徴です。
現在、大きく地域を超えて連携した地域DMOは全国で17。市町村レベルの小さなDMOも入れると約130団体が全国で取り組んでいます。久保田氏は「これらDMOと、東京のDMOが連携できる可能性は大いにあるのではないか」と話し、Marunouchi Travel Labとの連携に興味を示しています。もちろん、国が主導するDMOは地域で広く産業を巻き込むことが望ましいとされていますが、「実態としてはなかなか難しい」(久保田氏)現状があります。都市DMOとの連携に、地方DMO活性化の活路があるのかもしれません。

“ワイガヤ”でDMOを盛り上げる

連絡会の後は懇親会も開催されました。冒頭挨拶に立ったリガーレ理事長の小林重敬(横浜国立大学名誉教授)は「ビッグサイトのような大きな展示会をやるのではなく、会議室やユニークベニュー、ホテルなどの都市に集中している資源を活用し、急増している小中規模の国際会議に役立ててもらう、そんな新しい都心型MICEができないだろうか。DMO東京丸の内が、各都市で始まった都市型MICEの取り組みの先鞭を付け、幕開けになる」と本会にかける期待を語りました。また、乾杯の音頭を取った大丸有まちづくり協議会理事長の合場直人氏は、「エリアマネジメントも大丸有が日本初だった。都心型MICE、DMOも日本の見本となってほしい」と期待を語るとともに、「この地区のみなさんが心をひとつにしてお客様をお迎えする体制を作りたい。そのためには、懇親会でお酒を酌み交わし、心を通わせることが何よりも大切」と呼びかけて乾杯。その後は和気藹々とした雰囲気となり、お互いの交流を深めることができたようでした。

懇親会で乾杯